歯周病、ドライマウスで老化が加速する!?(日経トレンディネット2013年12月19日)

年を重ねるごとに失われていく「男らしさ」。いつまでも若い頃の外見・体力・健康は保てない。それを防ぐにはどうすればいいのか? 第一線で活躍する専門家たちに「男のアンチエイジング」の最先端を解説してもらう連載の第11回目は、歯周病やドライマウスなど口の症状について。これらの症状は老化につながるという。「口のアンチエイジング」の第一人者として知られる鶴見大学歯学部病理学講座の斎藤一郎教授に解説してもらう。

口の老化は全身の老化を反映

男が「オレも年を取ったなぁ…」と実感する部位として、昔から「歯・目・男性機能」が挙げられる。老眼で近くの物が見えなくなり、性欲や勃起力が衰える。そして、歯の数も減っていくというわけだ。

「年齢の“齢”には“歯”という字が入るでしょう。口は体の中でも老化を体感しやすい部分。年を取ると歯周病で歯がなくなったり、口臭が強くなったり、口が乾いたり、味覚が鈍くなったりする」と話すのは鶴見大学歯学部病理学講座の斎藤一郎教授。2005年に歯科大学の附属病院で初めてアンチエイジング外来を開設した「口のアンチエイジング」の第一人者として知られる。

鶴見大学附属病院のアンチエイジング外来では、以下の5項目で口の老化を診断する。1.歯の本数
2.歯周病の進行度
3.唾液の分泌量
4.咬む力
5.嚥下力(飲み込む力)

「口の老化は全身の老化を反映する。咬む力と全身の筋力が正比例するというデータもあるし、アンチエイジング外来で調べてみると、唾液の分泌量が多い人はDHEA(男性ホルモンの一種)のレベルも高かった」と斎藤教授は続ける。

ドライマウスは嫌われる

年を取って歯が抜ける原因は主に歯周病。歯ぐきの組織が歯周病菌に侵され、破壊されることで、歯を支えられなくなっていく。歯周病になると歯周ポケットで菌が繁殖するため、口臭も強くなる。国内の潜在患者数は想像以上に多く、軽度の人も含めると「30歳以上の8割」とも言われている。

そう聞くと軽く考えてしまいそうになるが、歯周病の影響は口の中だけに留まらない。歯周病菌が血液の中に入ると、動脈硬化や糖尿病を悪化させる。新潟大学大学院歯学総合研究科の山崎和久教授らによって、血中の歯周病菌がHDL(善玉)コレステロールを減らし、動脈硬化を進めるメカニズムも確認された(PLoS One. 2011; 6(5): e20240)。

50歳を過ぎると「ドライマウス」に悩む人も増える。日本語では口腔乾燥症といい、唾液の分泌量が減ることで文字通り口が乾燥する病気だ。「健康な人は1日1.5リットルの唾液を出すが、重症のドライマウスだと10分の1になってしまうこともある」と斎藤教授。

唾液には抗菌成分が含まれている。それが減ることによって、細菌やウイルスにも感染しやすくなるし、口の中の常在菌が増えて口臭が強くなり、虫歯や歯周病にもなりやすくなる。ドライマウスがひどくなると舌や粘膜に痛みを感じるようになり、やがて食事を取るのも難しくなるという。

歯周病とドライマウス、両者に共通する症状は口臭が強くなることだ。現代人にとって、口臭は大きな問題だろう。ちなみに、2013年10月にファブレスメーカー事業等を手掛けるブラシナが都市部に住む20~50代の男女600人に「オフィスや職場におけるニオイに対する意識調査」を実施したところ、汗のニオイや加齢臭といった強敵を抑えて口臭はブッチギリの第1位だった。60%以上の人が「気になる」と言っている。

毎日のケアで若々しい口元になる

唾液の分泌量を増やし、歯周病や口臭を防ぎ、いつまでも清潔で若々しい口元をキープするにはどうしたらいいのだろう? 斎藤教授に対策を聞いた。

1・ブラッシングとクリーニング
基本は毎日の歯磨き。ブラッシングによって歯垢を取り除き、歯ぐきの血行を良くする。さらに、「半年に一回は歯科医院に行き、プロにクリーニングしてもらうことが大切」と斎藤教授はアドバイスする。「歯周病」の進行具合もチェックしてもらうといいだろう。2・ストレスを溜めない
ストレスはドライマウスの大きな原因となっている。ストレスが強いと交感神経が優位になって唾液の分泌量が減り、リラックスすると副交感神経が優位になって分泌量が増える。身体に負担をかけない方法で、上手にストレスを解消しよう。

3・よく咬む
食事はよく咬むことが大切。「咬む力が衰えると唾液の分泌量が減る。よく咬むことで唾液もたくさん出る」と斎藤教授。ゆっくり咬んで食べると少ない量でも満腹感があるので、肥満の予防にもつながる。シュガーレスのガムを愛用するのもいい。

4・タバコを控える
タバコは口臭が強くなるだけでなく、歯周病にもなりやすくなる。1万2329人を対象にした米国の調査によると、タバコを吸わない人に比べて1日20本吸う人は4.72倍、31本以上吸う人は5.88倍も歯周病になるリスクが高まる(J
Periodontol. 2000 May; 71(5):
743-51)。ニコチンが歯ぐきの血行を悪くし、タールによって歯垢が落ちにくくなるためと言われる。禁煙がベストだが、どうしてもやめられない人は本数を減らす努力を。

5・むやみに薬に頼らない
医薬品の副作用でドライマウスが起こることも多い。「日本の医薬品の使用量は欧米の40倍とも言われるが、降圧剤、睡眠薬、抗アレルギー薬、抗うつ剤など、多くの薬に唾液の分泌を抑える作用がある」と斎藤教授。ちょっと調子が悪いから、と安易に薬に頼るのも考えものだ。

6・人と会っておしゃべりをする
口の周りの筋肉を鍛えると唾液腺も活性化し、唾液の分泌量が増える。そのためには積極的に人と会うことも効果的だ。人と会話を交わし、口角を上げて笑うことで、自然に口の周りの筋肉が鍛えられる。

毎日、少し気にかければ行えることがほとんど。早速実践して見た目も口元、ニオイまで若々しく過ごしたいものだ。

今回、教えていただいたのは、
鶴見大学歯学部病理学講座の斎藤一郎教授

松本歯科大学卒業。米スクリプス研究所研究員、東京医科歯科大学難治疾患研究所助教授、徳島大学医学部助教授を経て、02年から現職。08~12年まで鶴見大学附属病院院長も務めた。ドライマウス研究会代表。日本抗加齢医学会理事。著書に『「現代病」ドライマウスを治す』(講談社プラスアルファ新書)、『「食べる力」を鍛えてピンピン元気——健康長寿の秘訣とその実践法』(東洋経済新報社)など。

(文/伊藤和弘、イラスト/うぬまいちろう)

 

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