唾液の分泌が口内環境を維持? 歯の健康を保つメカニズムを知る

新年度になり、定期健康診断を受けている人も多いこの時期。健康に対する意識が高まる時期ではあるが、同時に歯の健康について見直す良い時期でもある。
歯を痛める主な原因として知られているのは「虫歯」だが、一方で「酸蝕歯(さんしょくし)」という別の症状によって歯が溶けるケースも数多く見られ、「虫歯」と「酸蝕歯」を混同している人も多いのだそうだ。

「虫歯」は、歯などに付着した糖分、炭水化物、タンパク質などが元で虫歯原因菌の棲家となる「プラーク(歯垢)」が生成され、虫歯原因菌が酸性物質を発生することで歯を痛める症状。一方で、「酸蝕歯」は酸性の飲食物そのものが歯のエナメル質や歯そのものを溶かし、ダメージを与えてしまう症状をいう。

「虫歯」と「酸蝕歯(さんしょくし)」の違い「虫歯」と「酸蝕歯(さんしょくし)」の違い

「虫歯」と「酸蝕歯(さんしょくし)」の違い

この二つに共通しているのは、酸性が歯に悪影響をもたらしてしまうという点だ。そこで、歯を痛めにくくするには、唾液を活発に出すこと、口内環境を pH 6.8~7.2(中性±0.2)に保つこと、プラークをなくすことの3点が重要になってくる。なぜこの3点が重要なのかは、日常的に起きている口内環境の実態を理解するとわかりやすくなるだろう。

● なぜ唾液が歯の健康を保つのか

人間の口に飲食物が入ると、食べ始めて3分後には急激にプラーク内部やプラークが付いている歯の表面が酸性化し、歯の表面が柔らかくなる。そこで、酸を中和する働きを持つ唾液が分泌され、口内を中性に近づけようとするのだ。同時に、唾液にはカルシウムを補う(再石灰化する)役割があり、柔らかくなった歯の簡単な修復を試みる。この修復や中和には時間がかかるが、1回の飲食ごとにきちんと口内環境が整えば、酸蝕歯の心配は低くなると言える。

食事を終えた直後、口内に食べかすが残っていると虫歯の原因になる「プラーク」が生成されてしまう。このプラークは、非常に粘り気がある物質で、うがいだけでは落とすことができないため、歯磨きが必要不可欠になるのだが、食後すぐに歯磨きをすると、表面の酸性化によって柔らかくなっている歯を傷つけてしまう場合も考えられる。そのため、食事中や直後にできる歯の健康対策には、「唾液をよく出し」「酸性の中和を促す」ことが重要なのだ。

口内が酸性化すると、歯が溶けやすくなるデメリットが、逆に口内がアルカリ性化したときは「プラーク」唾液中のカルシウムなどが付着して石化し、歯石になりやすいというデメリットが生じる。歯石は虫歯の原因にはならないが、放置すると歯周病の原因になる恐れがある。ただ、歯石は歯科医で簡単に除去できるものなので、酸性化によって歯が溶けてしまうよりは、口内をアルカリ性に保つことが歯の健康を維持しやすい状態だと言えるだろう。

● 唾液は“歯の保護剤”。分泌を活発にするためには?

歯が痛むのを防ぐ、優れた保護剤とも言える「唾液」。その分泌量は、一般的な大人で1日あたり1.0~1.5リットルにもなるという。しかし、唾液が口内を十分に中和するのには40分以上かかると言われているため、時間をおかずに飲食をしたり、食間に酸性の飲料を摂取すると口内の酸性化が進んでしまう恐れがある。

また、唾液は就寝前と起床直後、過度の緊張やストレス、体内の水分が減った時や代謝が落ちた時などには分泌が減ってしまうという。これら「口の中が乾いている(唾液が少なくなっている)」ときは、虫歯や酸蝕歯にかかりやすい状態と言えるため、生活リズムを整えたり、こまめな水分補給で脱水状態を防いだりすることで、積極的に唾液を分泌させることが必要だ。特に、水分補給の際には、pH が中性からアルカリ性で着色要素もない水を摂取することが適していると言えよう。

歯の健康維持について、歯科医師で All About 歯・口の病気ガイドを務める丸山 和弘氏は、「虫歯の原因となるプラークを取り除くには、口内環境が良い状態でしっかり歯磨きすることが唯一の方法。口内環境が良ければ、酸蝕歯の予防にもつながる。夕食から時
間を置き、就寝直前にしっかり歯磨きをして欲しい」とコメント。また、唾液の分泌と歯の健康の関係については、「近年は、唾液が少ないドライマウスの人が増えているうえ、唾液が減リ始める年齢が前倒しになっている傾向が見られる。ドライマウスには未だ効果的な治療がないため、新陳代謝を維持するためにも、『のど』ではなく『口が乾いたら』水分補給するように心がけてほしい」としている。

意外と知られていない、歯の健康と唾液の働き。口内環境を整え、健康な歯を維持するためには、唾液分泌量低下の原因となるドライマウスを防ぐために、こまめに水分補給をすることが重要な役割を果たすと言えそうだ。

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